写真論

後悔しないピント合わせ

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『後悔先に立たず』とはよく言ったもので、撮影後の編集作業時に、ガックリと肩を落とすことは少なくありません。失敗の内容にもよりますが、一番多いのは『ピントミス』ではないでしょうか。後からは『単純なミス』と判断しがちですが、そもそもそれが大きな間違いだったりするのです。

相性診断

ところでピントとは、どこに合わせればいいのでしょうか? 『そんなもん、写したい所に決まってるでしょ〜』という声が聞こえて来そうですね。確かにそれも正解なのですが、それではなぜ、ピントミスが起こってしまうのかを考えてみましょう。

一眼レフは、カメラとレンズが別物です。メーカーも年代も違う物を合わせることができるのも、魅力の一つと言えるでしょう。しかし恋愛と同じように、相性というものが存在します。それを確かめるために、実験をしてみましょう。

  • カメラを三脚に固定し、開放でオートフォーカスで撮る。
  • カメラを三脚に固定し、開放でマニュアルフォーカスで撮る。

それでは、ピントを合わせた場所を拡大してみましょう。いかがでしょうか?

どちらも満足できるぐらい、合っているのであれば問題ありません。しかし持っているレンズを全て試せば、合わない物が出て来るのが普通です。

あと三脚で試して合っていたとして、次に手持ちで試すのも良いでしょう。もし手持ちで合わなくなるようならば、撮影フォームに問題があるのかも知れません。特に体の前後の動きは致命的となってしまいます。

前ピント後ピンを知る

オートフォーカスの場合は、カメラの認識ということになりますので、大きくズレている場合は調整が必要となります。これはチェックシートとカメラの設定機能を使って行えるので、ご自宅で簡単に行えます。

ピントについて本気で考える

最新機種は、常に素晴らしいです。 ただ、使い慣れると『普通』になってしまうわけです。 そんなことをずーっと繰り返している ...

マニュアルフォーカスで合わない場合でも、ショックを受けないで下さい。レンズに癖がある場合もありますし、そもそも広角〜標準辺りで開放域にピントを持って来るのは神業と言えます。

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ピントというのは『合わせた所から後ろに向かって合う』という性質があります。上記の写真は手前側の林に、ピントを合わせました。F10ぐらいまで絞っていますが前ボケを利用しつつ、奥行きを見せるという表現になっています。これは正に前ピンの性質を利用した作品となっているわけです。

広い意味で言えば『前ピン気味』に合わせた方が正解の確率としては高く、はるかに安全な撮影だと言えるでしょう。

ピントは面で捉える

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ピントは点よりも面で捉えた方が安全です。ファインダーを覗くとついつい一点集中となりがちですが、被写体と同じ距離にあるものを確認するぐらいの余裕が必要です。

集合写真などの失敗が許されない場合は、なるべく横一列に並んでもらい、その中で一番手前を見極めピントを合わせます。少し絞り気味に設定し、シャッタースピードが不安であればISOを上げるという考え方を採用した方が、撮影の難易度は下がります。

開放側のピントのむずかしい撮影をコントロールするには、被写界深度を理解することが大切になってきます。

被写界深度の誤解
被写界深度の誤解

写真についてはF値(絞り)とSS(シャッタースピード)の関係を学んだり説明したりと、そこそこ理解しているつもりでも、実は ...

設定を見直す

カメラのオートフォーカス設定で、画の全体から計測するものと、一点に絞って計測するものとがあります。どちらも素晴らしい機能なのですが、やはり得意不得意があります。

  • 歌手を撮影する際、マイクにピントが合い、人物はボケる。
  • ポートレイトで、後ろの壁にピントが合い、手前の人物がボケる。

上記のような失敗を経験したことはないでしょうか? これはオートフォーカスに頼り過ぎたことが原因となります。決してオートの性能が悪いのではありません。

時々カメラが、迷っていることがありますよね。これは被写体が明る過ぎたり暗過ぎたり、又はどちらがメインなのか判断しにくい状況で起こります。こんな時は自分を信じて自分で決めてみてはいかがでしょうか。

迷った時は手前1/3

風景撮影で困るのは、画が広過ぎてどこへピントを合わせればいいのか分からなくなる場合があります。そんな時は画を3分割にして『手前1/3』のラインに合わせるのがセオリーとなります。そうすることで片寄ることのない、奥行きの豊かな写真が撮れるはずです。

このように、いくつかのシーンに適したポイントを、自分の中に確立させるということ。撮影は忙しいものですが、ある程度余裕がなければ成立しません。

毎回同じような構図ばかりでは問題ですが、押さえるところはしっかりと押さえ、その上で新しいアングルや表現に挑戦できたら、写真はもっともっと面白くなるはずです。

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