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キャリブレーションの限界

湖

モニターカラーとプリンターカラーのキャリブレーションに対しては、かなり真剣に取組んで参りました。本やWebを読みあさり、まさしく試行錯誤の連続。あまり細かい事を書くつもりはありませんが色々やってみた結果を、そっと報告したいと思います。

結局、完璧には合わない

いきなりで申し訳ありませんが、結論として完璧には合わないような気がします。もちろんそれの幅は誤差なのだと思いますが、そもそも違うもの同士を、完璧に合わせようとしていた時点で間違いに気付くべきでした。

初めてキャリブレーションをした時は、正直満足でした。色評価モニターや色測機は当然のこと、蛍光灯からその他詳細事項までを揃えた集大成ですから、良好な結果に感激しました。

しかし、それがたまたまだったと気付くまで、わりと早かったように思います。

合いにくい色がある

 主観ではございますが、合いにくい色は赤系のように思います。特に人の肌の色。

赤と言っても、人の肌は白から濃い茶色まで様々です。その中には黄色やオレンジなどが含まれるのが前提で、要は撮影対象が人物という場合の話になります。

集合写真の場合、男性も女性も入ります。女性はメイクをしているのと、普段から日焼け止め成分を使っている事もあり、白く出がちです。そうなると露出をどちらに合わせるかという撮影段階からの影響もあるでしょう。

プリンターの性質

これに至ってはCanon系とEPSON系に別れると思いますが、そもそもCanonは鮮やかな表現、EPSONはフラットなイメージです。個人的にはEPSONの方が、モニターイメージには合うような印象があります。しかしEPSONでは、物足りなさを感じる事もあります。

ホワイトバランスに対する人の感じ方は、色温度の低い赤には敏感で、高い青には鈍感なので、その効果も手伝っているのでしょう。

ポートレイトで白い肌に照準を合わせた場合は、canonの方が優勢。日焼け肌を落着かせた場合は、EPSON優勢と考えます。でも、そんな操作をする事自体、キャリブレーションの意味が成されていないような気もします。

合う時はバッチリ合う

特定の色のバランスに原因があるとすれば、プリンターのカラーバランスを詰めて行けば良いのですが、ノーマルでバッチリ合う事もあるので『やっぱりこれで、いいのかな?』と思ってしまうのです。

被写体によって、とりあえずプリントしてみてその結果から設定を変更し、納得の行くまでプリントしていたら、結構コストが掛かってしまいます。

色の世界は、最終的には見た目ですが、RGBとCMYKを一致させる作業ですから、設定を見た目で判断できるほど単純ではないと思うのです。

プリントアウトする作業が少ない

これを言ってしまったら元も子もないのですが、現在仕事で撮影する被写体は、ほぼWebまでで納まってしまうようなものが多いのです。

利点を言えば、許される範囲が広いという事です。

それに、いくら制作者側が整った環境で編集し納品しても、受取った側が普通のモニターで見たり、通常プリントしてしまっては意味がないという事です。

紙媒体が減少している今に、かなり助けられているのかも知れません。

そもそも、プロラボの印刷機は1桁も2桁も違う

プリントを専門にしている業者さんの機械は、ものすごく高いんです。こればっかりは同等の仕上がりを求める時点でおかしいのかも知れません。プリンターがいくらプロ機で色評価対応だからと言っても、敵うわけがないのでしょうね。

裏技と言ったら、はずかしいのですが・・・

『あとはプリントをして完成』という状況で、思っていた色が出ずに悩む場合があります。そんな時は恥を忍んで『Photoshopによる色管理』から『プリンターによる色管理』に変更してみましょう。すると意外に、万人受けしそうな色が出る事が多いです。

もちろん、これで良いと思っているわけではありません。しかし、間に合わせなくてはいけない時もあります。これにより『評価が下がってしまうような仕上がり』は危険ですが、そこそこであれば『納品に間に合わないような人』とならずに済みます。

結論

先日、横浜で開催された『CP+2015』を見る限り、ものすごいスピードで進化が続いています。つい最近まで最先端だった機材が、あっという間に時代遅れになってしまうのです。古いものと新しいものの共存は簡単ではありません。そうなればキャリブレーションの相互性にも、どんどん差が生まれて行く事でしょう。

色とは、見る人や表現によって大きく異なるものです。しかし正しい色が確実に存在するのは確実ですから、完璧ではなくても常に近付く努力は絶やしたくないものですね。

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