目次
理想
二日目の夜
僕は 昨日の夕方に味わった不安に
再び 直面していた
学習能力の無さとは
こういうことを言うんだなぁと
関心さえしていた
仙台は 思っていたより都会で
さすがに民家がある所に キャンプは張れない
そこで思い付いたのが
橋の下に泊まるということ
しかし 自分の理想の橋の下というものは
なかなか存在しないものである
日が落ちた後も
ウロウロと走り回ることになった
ただ 暗くなるという不安の裏に
見えないという安心感もあるのだ
今まで旅してきた中で
朝目覚めて 辺りを見回すと
こんな所で よく寝たもんだと
関心することがある
知らないということは 時として
幸せを生むこともあるのだ
この日落ち着いたのは
川の脇の草原で
順調に 就寝出来たかのように
思えたのだが
旅の神様は 第一の試練を
僕に与えてくれたのだった
(91.08)
ルール
千葉県の犬吠埼灯台を経由し
そのまま 太平洋沿いを
ひたすらに北上した
そろそろ 夕刻の時だが
どうも テントを張る勇気が出なかった
というか 張る場所がないのだ
キャンプは キャンプ場で
やはりこれが 正解なのかも知れない
そう思って
調べておいたキャンプ場へ向かったのだが
すでにそこは
工事現場と化していた
がっくりと 肩を落としたのだが
これは 一人旅
頼る仲間も 相談する相手もいない
全て 自分で決める
これが ルールだ
そこで 思いついたのが
春に訪れた 福島の田舎だった
今日はとりあえず泊めてもらおう
幼いながらも
甘えてしまった自分に腹を立て
夜の峠を越えて行っくのだった
翌日は 再び猪苗代湖を訪れ
仙台を目標に ひたすら北上した
ここからは 未知の世界
土地勘も無く 知り合いもいない
『何んとかなるさ』
若さゆえに 無知なだけに湧き上がる自信
何と たくましいのだろうか
(91.08)
線
例えば 日本地図を思い浮かべてほしい
そこへ あなたの毎日の行動を
線で書き込んでいくのだ
ほとんどの人が 会社や学校の往復
休日は 近くまでの買い物
たまに 遠出の線もあるが
それは 本当にまれで
いつしか地図は 一つの線だけ
塗りつぶされていくことだろう
もちろん 悪いことではないが
せっかく生まれてきたのだから
そして 時間に限りがあるのだから
僕はその線を もっと遠くまで伸ばしたい
そう 思ってしまったのだ
1991年8月12日(月) AM4:00
17歳の僕の夢は ついに動き出した
本州の一番上は どうなっているんだろう
この目で確かめたい
始まりはだだ それだけだった
まだ 暗い朝なのに
両親は心配しながらも 送り出してくれた
あの時は『別にいいのに』って思っていたけれど
今考えると そりゃ心配にもなるだろう
携帯電話がない時代だし
車でならまだしも
我が息子は テントと寝袋をバイクにくくり付け
ガスコンロと鍋一つで 食事を済ませようとしている
『いつ戻るのか?』と聞いても
『帰りたくなったら』としか言わない
『今日は どこに泊まるのか?』と聞いても
『テントがあるから どこでも寝れる』と答える
あぁ ノープランなバカ息子よ
行ってらっしゃい
(91.08)
写遊会ひらかた 写真展のお知らせ
『写遊会ひらかた』写真展
***花との語らい***
期間:平成21年10月9日(金)~10月15日(木)
午前10時~午後7時(最終日は午後2時迄)
会場:富士フイルムフォトサロン
(フジフイルムスクエア 2F)
入場無料 会期中無休
作品点数:カラー50点
親父の所属する 写真の会です
おじ様達の 乙女チックで ファンタジックな世界
是非 ご堪能下さい
空
この空に
もう一度だけ
会いたい
次
区切りを迎え
あなたは 何を得ましたか?
あなたは 何を失いましたか?
学べたことに気付き
じゃあ 次はどうするのか考える
それだけで いいのだと
僕は 思います
一つ
いくつも いらない
一つあれば
十分だよ
逆らわずして
流されて 流されて
流されてみるのも
いいさ
拝啓
拝啓
お元気ですか?
がんばり屋さんのあなたのことだから
忙しく生活していることでしょうね
私は 相変わらずで
これと言って 報告もありませんが
とにかく毎日を
一生懸命生きています
最近 あなたの言ってくれた言葉の意味が
ようやく 分かったような気がします
あの頃の 幼かった私には理解することが出来ず
いっぱい いっぱい 迷惑をかけましたね
ごめんなさい
秋になり ちょっと心淋しくなってしまい
あなたに 手紙を書きました
お忙しいとは思いますが
たまには 連絡下さいね
ここ数日 涼しい日が続いております
体に気を付けて お仕事がんばって下さいね
それでは また
秘密基地
ここは 僕等の
秘密基地
宝物だって
いっぱい あるんだ
何処にあるかは
絶対に
言えない
でも
仲良くなったら
教えてあげるかも
再会
とっても
とっても
素敵な時間でした
また
会いましょう
おさかな旅日記
みなさん こんにちは
今日から 新企画
始まるよ~
今回は 題して
おさかな旅日記
日本を 何周もした僕の
旅の記録です
旅行という言葉が 嫌いだ
僕が好きなのは
旅 という言葉
何が違うのかと言われてしまえば それまでだが
とにかく 僕は 旅行ではなく
旅がしたいのだ
これは イメージなのかも知れないが
旅行とは 型にはまりきっている気がする
しかし 旅は 自由度が高いと感じる
まぁ 僕の好き嫌いは どうでもいいとして
ちょっと 旅の話がしたくなった
僕の 初めての一人旅は 15歳の春休み
鈍行列車を乗り継いで
埼玉から 新潟経由で日本海へ
そして 西へ下り 名古屋まで南下
東海道を通り ぐるっと 一周
正直 今 思い返しても
何も知らない僕の 苦痛な旅だった
地方の 名産も知らない
そもそも 旅を楽しむことすら出来ない
そんな スタートだった
月日は流れ
僕は 自由を求めていた
そう その答えは バイクだった
好きな所まで 走り
好きな所で 止まれる
当たり前の 自由が
幼い僕には 新鮮だった
小さな ツーリングを繰り返すうちに
僕は 再び 旅への想いを
募らせていったのだった
東北への想い
ごみごみした感じが 苦手だ
それは 今も変わらないが
当時の僕は
東京が怖かったのかも知れない
だって ベンツは走っているし
殺人事件は起きるし
ご飯を食べたら 高そうだし
とにかく僕は 田舎者だった
今も そうだけど・・・
まぁ それは 置いといて
僕は 東北が好きだ
と言うのも 母親の実家が福島で
よく連れて行ってもらったのだが
この先は どうなっているんだろう?
そして 東北の果てには
何があるのだろうか?
そんな想いが強くなっていった
百聞は一見に如かず
これは 僕のためにあるような言葉
だって この目で見ないと
気が済まないのだから
初めて 新宿アルタを見た時
本当に 感動したのを覚えている
あぁ 道はつながっている
テレビに映っていたのは
嘘じゃなかったと
本気で思ったのだ
そして僕は
計画を 立て始めたんだ
そう すべては
確認をしに行くために
(92.03)
不安との戦い
その冬
必死にアルバイトをして
カワサキの モトクロスバイクを手に入れた
夢や目標があると
人間ここまで頑張れるのかというぐらい働いた
だから 旅計画が実行されるまで
そう時間はかからなかった
とりあえず 幼い僕でも
青森は遠い所だと 分かっていたようだ
よし 今度の連休を利用して
途中まで行ってみるか
何も知らず 勢いで生きていた僕にしては
賢い選択だったように思う
ある春の朝 僕は出発した
もう 後戻りはできない
そんな覚悟すらあったのだ
国道4号線を ひたすら北上し
母親の実家がある 福島へと向かった
国道4号線とは
まっすぐ青森まで伸びる 憧れの国道
この道を制することは 東北を制すると
勝手に思っていた
しかし この道
トラックは多いし 景色もつまらない
それに ネズミ捕りがいるんじゃないか
突然 バイクが故障するんじゃないか
ガス欠にならないだろうかと
僕は そんな不安とも
戦い始めていた
(92.03)
袋田の滝
国道4号線を 東へ折れ
日本三滝でもある
袋田の滝へと 向かった
子供の頃に 行ったことはあるが
正直 全く覚えていない
きっと親は 大変な思いをして
連れて行ってくれたであろうに
何とも 親不孝な息子だろうか
袋田の滝へ着くと
観光客は 少なかった
これが 山間の観光地の現実か
たまに 大型観光バスが乗り付け
酔っ払いどもが 大騒ぎをし
トイレを荒らし
写真を撮るために 柵を越えていく
それでも 受け入れなくてはならない
日本の悲しい現実が そこにはあった
それでも 滝は僕の前に
堂々と立ちはだかる
やっぱり 滝はすごい
マイナスイオンだか何だか知らないけれど
その大きさや 力強さから
学ぶことは たくさんあるような気がした
その後は 順調に北上し
じいちゃんと ばあちゃんが待つ
福島県浅川町へ
夕方 無事に 到着したのだった
(92.03)
じいちゃん ばあちゃん
顔を合わせるのは
何年ぶりだっただろうか
とにかく 第一印象は
小さくなっていた
そりゃ 僕が子供の頃から
じいちゃんと ばあちゃんをやっているわけで
孫が バイクに乗るようになれば
そりゃ 老けるのも当然だろう
それに
僕には照れもあった
子供の時のように
なかなか上手く話せない
さらに 後ろめたさもあった
バイク = 不良
それに 何より危険ということだ
大体 バイクに乗っているというだけで
年寄りからは 説教されたものだ
ヘルメットを抱えて
病院の待合室にいようもんなら
もう 大変
転んだのか? スピード出すからだ
バイクは危ない 親が心配しているだの
とにかく
散々な目に合うのだ
それでも 二人は何もふれず
ただ『気を付けて行くんだよ』
そう言って
やさしく僕を 送り出してくれた
(92.03)
猪苗代湖
この旅のテーマは
とりあえず 行ってみようだ
なので 何にも決めていない
田舎には寄ってみたものの
その先に 宿があるわけでもなく
風の吹くまま 気の向くまま
まさに バカヤローだ
しかし 旅人とは 不思議なもので
地図を見て 水がある方向に行きたがる
そうなると 次の目的地は
そう 猪苗代湖だ
湖の南側から入り
ぐるっと 反時計回りに走ってみた
しかし でかい
海だよって言われたら
納得してしまいそうなぐらいだ
僕は 湖畔にバイクを止め
さっき買った コンビニ弁当を食べ始めた
う~ん さびしい
急に そんな想いが込み上げてきた
自由を求めて 一人で来たのに
いざ それを手に入れると
人はまた 何かを手に入れたくなる
そんな時 通りすがりのライダーが
僕に手を振ってくれた
急に テンションが上がり
楽しくなってきた
何と 不安定な男なのだろうか
何と わがままな男なのだろうか
急に 自分が恥ずかしくなってきた
とりあえず 元気を取り戻した僕は
また北へ
バイクを走らせるのだった
(92.03)
五色沼
道は 上り坂へとさしかかり
今までにない 風景が僕を待っていた
いや 待っていたのではない
ずーっと昔から そこにあるのだ
ただ僕が 知らなかっただけ
ここは いくつもの沼が点在し
その色は 季節や時間帯によって
様々な表情を 見せてくれる
まさに エメラルドグリーン
ここは 五色沼
衝撃を受けた僕は
その後何度も 足を運ぶことになる
水は 驚くほど透明で
山女が スイスイ泳いでいた
地元の大宮公園の鯉とは わけが違う
野生動物との遭遇に おびえながらも
遊歩道を歩き 自然のすごさを思い知った
もっと奥へ入りたかったが
この装備では 危険と判断
再来を誓った
さて どこへ行くか
このまま 北へ向かうか
それとも 西へ向かうか
とにかく 今回の旅の猶予は3日間
明日中には 帰らなくてはならない
そう 今回は とりあえずの旅
夏休みへ向けての 予行演習だ
よし 只見まで行こう
僕は 只見線を横に見ながらの
国道252線を 西へと向かった
川沿いということもあり
景色は素晴らしいのだが
時間はすでに 夕刻
そして 山奥へと向かっている
得体の知れない不安が
また 襲いかかって来た
そんな中 行く先に
旅館の看板が目に入った
しかし 飛び込みで泊めてくれるだろうか
外で作業していた 親父さんに
『あの~ 一人なんですけど 泊めてくれますかぁ?』
『はいはい 大丈夫ですよ~』
助かったぁ
急に 肩の荷が降りた
しかし 旅を続けて行く中で
毎日 これだと困るのです
ちゃんと 計画性のある旅にしなくてはと
この時すでに思っていたのですが
現在でもそれは 治っていないのです
なぜなら僕は
予定を決められてしまうのが
嫌なのです
だって その時
何に出会うかも分からないし
急に 曲がりたくなるかも知れないし
そう 自由でいたいのです
そして
バカでいたいのです
(92.03)
ますや旅館
初めて旅館に泊まった僕は
すっかり 感激してしまった
料理は おいしい
サービスは 良い
しかも 安い
もしここで 感じの悪い旅館だったら
その後 僕は
旅を続けてこれただろうか
ますや旅館(只見)
また 行こう いつか 行こうと思っていながら
20年近くが 経ってしまった
しかし インターネットで調べてみると
未だ 健在
やはり 良いものはなくならない
朝起きると あいにくの雨
それでも
親父さんと おかみさんに 見送られ
気分は 上々だった
国道289号線を 南東へ戻り
宇都宮を目指した
途中立ち寄った 龍王峡は
霧で 何にも見えなかった
その悔しさと 寒さで
僕は 観光地の定食屋へ入ることにした
いわゆる 豪遊だ
席に着き メニューを見ると
定食 1500円
高い 高すぎる
当時のアルバイトの時給にすると
2時間分
しかし 外は雨
思い切って 焼肉定食を注文した
もちろん 普通に おいしい
しかし この体験が
今後の 僕の旅の食生活を
大きく変えるのであった
その後 雨は上がったが
さすがに雨天走行は疲れる
鹿沼インターから贅沢にも
高速道路で帰宅した
その晩 僕は両親に
旅の出来事を 得意になって説明した
でも 何かが違う
とりあえずとは言え
やり遂げた達成感というよりは
反省点が浮き彫りになり
再挑戦の意欲が にじみ出てきたのだ
僕は 子供の時からそうなのだが
旅を終えると その翌日
また 荷物をリュックに詰めるという行動を起こす
もちろん 学校があるため
直ぐに旅立つことは出来ないのだが
その不可解な行動を
個人的には
自分のかわいい一面だと思っています
とにかく
一つの旅が終わった
17歳の春
僕は一歩
前へ進むことが出来た
プラン 2泊3日
走行距離 806㎞
使用金額 14,933円
(92.03)
青い池
ここには
神がいるのだと
そう 思える
光景だった
ありがとう
言われて うれしい一言は
やっぱり
ありがとう でした
ハート
ハートを 見つけると
ちょっと
うれし
ケビン・カーター
自分が 自分を
攻め立てる
その 考えを
その 行動を
僕も
負けてしまうのだろうか
雨樹一期氏 写真展のお知らせ
togomamaカフェプロデュース『mamagoto展2』
2009.9.20-26
11:00-20:00
会場:デザインフェスタギャラリーウエスト全館 ほか
open:11:00~20:00 期間中無休 入場無料
参加アーティスト
雨樹一期/中川貴雄/井ノ上豪/北井ゆか/森麻美/越智大介
さんがっつ/caran coron/ウメ/togomama
髭(HiGE)(ハイジ) and more
デザインフェスタギャラリー
(09.09.20)
曼珠沙華
桜と同じぐらいに
季節を告げる
赤い花
今年は
その訪れが
早かったように
思います
羽
おつかれさま
ちょっと
休んでみませんか
遊び
子供の頃
親父は 僕等兄弟を
よく川へ連れて行ってくれた
釣りも キャンプも
そこで覚えた
あの頃は ただ 楽しかっただけかもしれないけど
今頃になって
その経験が 生きていることに気付いてきた
行動力 あきらめない考え方
あぁ 遊びは
人を造るんだなぁって
消防車
カン カン カン カン
ウー ウー ウー
火事ですよー
暁
みんなの心に
響くように
そっと やさしく
もっと 儚く
そんな 曲が
描けますように
小さな一歩
踏み出したことに
踏み出せたことに
意味が
あるんだ