富士山が好きです
それは もう
恋のように
富士山への想い
初めて 富士山を見たのは
17歳の 秋
名古屋から 東京へ向かう
東名高速道路から
あまりの大きさに 圧倒され
僕は 高速を下り
その頂を目指した
五合目に着くと そこは別世界
登山の怖さを知らない
若すぎる 挑戦だった
大した装備も持たずに
ひたすらに 登った
下山してきた 登山者とすれ違う
その風格のある アゴヒゲは
白く 凍りついていた
登っていると あまりの運動量に気付かないのだが
気温は 間違いなく氷点下
休憩を取ろうものなら
その汗が 一気に体温を奪っていく
それでも 道が続くから
僕は登る
知らないということは
本当に 怖いことだ
もうすぐ 8合目という時に
たちこめていた 霧が
一瞬だけ 隙間を見せた
山頂だ
あれが 日本の頂点なのか
今一度 テンションが上がり
吸い寄せられるように
足を運ぶ
しかし そこはもう
一面の 白い世界
雪というよりは 氷なのだ
しかも 突風が吹く
『これ以上進んだら 死ぬかもしれない』
振り返り 下を見たとき
自分が崖の途中にいることに
ここまで来て 初めて
気付いたのだった
やむなく 下山
今思えば 立派な選択だった
富士山は怖い山
その一週間後
僕は 新聞記事を読み
唖然とした
富士山で 滑落事故死
今回の挑戦を 誇らしく思っていた僕に
急に 震えが襲いかかってきた
自分が どんな場所にいたのか
どんなことをしようとしていたのかが
あれから いくつもの峠を越えて来た
それなりに
知識も自信も付いてきた
それでも なぜか満足できない
それは 未だに
富士山頂に 立っていないということなのか
それを 確かめるために
僕はまた 登り始めた
あれから 17年が過ぎた
そして今度は
一合目から
富士吉田口登山道 8:00
二合目 9:00
三合目 9:30
四合目 10:00
五合目 10:30
佐藤小屋 11:00
六合目 11:15
富士吉田口登山道 13:20