カメラマンとして最も気を使うのが、データ保存です。
これはもはや『慣れ』という類の感覚は要らず、常に初陣のつもりで行っています。
ただ、現場によって動き方は様々なので、効率的に使い分けなくてはなりません。
今回は保険の上に保険を掛けた保存方法と、考え方を記載致します。
データ管理が出来て一人前
カメラマンとは一色単にされてしまいがちですが、内容は部門によって様々です。
それは撮影方法から考え方、データ処理に至るまでバラバラなので、複数の現場を経験していないと、危険な固定観念が出来上がってしまうかも知れません。
撮るだけ撮って、データ保存はアシスタント任せにする現場もありますが、データ消失事故の話が聞こえて来るということは、やはり出来ていないのだと思います。
特にWi-FiやPC接続により、管理の概念は大きく変わりましたが、根本である『理解と確認』はフィルム時代から、何一つとして変わらないのです。
スポーツやブライダル
撮影枚数がかさむスポーツやブライダル撮影は『RAW』で撮ることはほとんど無いはずです。特に連射を活用するスポーツ部門は『jpeg』であっても『L』や『M』などファイルサイズの指定も受けます。
この場合は事前にカード単位で何枚撮影が可能かを確認し、予備のカードを必ず持って行き、直ぐに取り出せる位置に忍ばせておきましょう。
記録媒体は極力、CF(コンパクトフラッシュ)を使うようにして下さい。
理由として『CF』は端子が隠れており『SD』はムキ出しです。これは直接の破損だけでなく、静電気にも影響する為、安全性に雲泥の差があります。
集合写真は『ワンタッチ記録画質』で一時的に『RAW』にすれば問題ないはずです。
焦らず急がず、チエックは怠らずに行います。
二度と撮れませんからね。
スタジオ撮影はダブルスロット
二世代前ぐらいの機種から、ダブルスロットが採用されるようになりました。
一眼レフは、CFとSDの組み合わせになっているはずです。
これって単に、大量のデータを保存出来るようになっただけではなく、それぞれに分けて保存することも可能なのです。例えば『L』はスロット1で『M』はスロット2みたいなイメージですね。
これを踏まえオススメするのは『同一書き込み』です。
合わせてクライアントから指示があった画質を設定すると、それぞれのカードに同じデータが保存されます。
ここまでは当たり前の話ですが、考え方に意味があります。
スタジオではパソコンが設置されている場合がほとんどで、テイクごとにバックアップを取ります。その際カメラマンは、何枚ぐらい撮ったかを常に把握しなくてはなりません。それで1シーン目はいいのですが、テイクが重なると足し算と言えども複雑になり、分からなくなるのです。
これは撮れ高の最低ラインと、撮り過ぎ防止の為に必要なことで、結局は時間短縮に繋がるんですよね。とにかく、編集も大変ですから(-_-メ)
例えば、1テイク100枚だとします。
記録画質は『L』の同時書き込みです。
撮影を終えたら『SD』を抜き『PC』へバックアップを取り確認します。
『SD』をカメラへ戻す前に『CF』の初期化を行い『SD』を挿入します。
この時点で『PC』と『SD』にバックアップが残っています。
『CF』は空なので、カウンターがゼロになります。
その後、テイク2に入りますが、カウンターはリセットされているので、枚数は一目瞭然ですよね。この仕組みを維持することで、安全かつ冷静になれるのです。
これは勿論『CF』と『SD』を逆にしても構いません。私の場合は『CF』の抜き差しは極力控えたく『SD』はワンプッシュで抜けるという部分から辿り着いた仕組みです。
カメラマンは、写真だけを撮ればいいのではなく、全体の流れから空気を作り、2つぐらい先を見て行動しないとスケジュールが壊れます。焦れば照明移動で事故が起きたり、そもそも撮影に集中出来なくなることもあるでしょう。
まずは不安要素を一つずつ確認し、明確に理解すること。
頭を整理整頓し、優先事項を選び出すこと。
雰囲気って写真に出ますから、事前に出来ることはやっておきたいものです。
そういう意味で言うと、昔の緊迫した現場って賢くないのかも知れませんね。