写真論

被写界深度の誤解

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写真についてはF値(絞り)とSS(シャッタースピード)の関係を学んだり説明したりと、そこそこ理解しているつもりでも、実は突っ込まれて聞かれると答えられない事も多いです。知らなくてもいい部分も多いし、それこそあんまり詳細を勉強していると嫌になってしまうのが現状です。

ただ、あいまいにしておくと何れはそのしっぺ返しが来るというのも覚悟しておかなければならないわけです。『写真教えて』の一点張りで聞くつもりのないタイプの人には、こういう話をするとあっさり諦めてくれるという利点もあります^_^

ピントが合う幅

そんなこと言いながら、僕もあんまり突っ込まれると困ります。と言うのは カメラは計算式で成り立っているわけで、平方根とか関数とか言われると嫌になっちゃうわけです。

でも『こう教えられたからこうだ』とか『何となく感覚で』とかは嫌いです。
『こういう理由があるから、こうした方が良い』という所までは行きたいのです。

今回取り上げるテーマは『被写界深度』です。
写真をやっている方なら、まず聞いた事はあるはずですよね。

簡単に説明すると『ピントが合う幅』です。

絞り値の数値を大きくすればピントの合う幅が広がります。逆に小さくすればピントの合う幅が狭くなるというこですよね。これだけ知っていれば大丈夫なんですが、じゃぁ『何でそうなるの?』と聞かれた時、上手く説明できるでしょうか?

説明出来ないにしても自分の中では、どう理解しているのでしょうか?
それでは下の図を見てみましょう。

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これはレンズからフィルムまでの、カメラの中の構造です。

絞り値は『上は解放』で『下は絞り込んだ状態』です。
Fの幅が変化する事により、AとBの角度も変化します。

絞ればAは狭くなり、逆にB広がります。

この図では、Bの角度がフラットに近付くにつれピントの幅が広がるという絞りと角度の関係を表したものです。

ではなぜBの角度が広くなると、ピントの幅が広くなるのでしょうか?
その前に『ピントの幅』という表現について訂正とお詫びを申し上げます。

本来ピントに幅はありません。

『えっ? じゃぁ今までの説明は何だったの?』と言われるでしょう。

まぁ、聞いて下さい。ピントは点である。
その前後はボケています。でもボケにも度合いがあります。

解放値の場合、ドピンのお隣はボッケボケです。
逆に絞り込んだ場合、お隣はまぁまぁ合っているわけですが、ボケている事に変わりありません。『合っているように見えるだけ』なのです。

ちなみにこの説明で切っても切れないのが『収差』という言葉です。
レンズは球面ですよね。なので光は屈折しながら通り抜けます。

よって、接点が点にはならず、幅が生まれます。

ちょっと脱線した例を上げると、お空にはチリが漂っています。
雨が降っていたり、晴れていたりと大気の状態も様々。
そこへ太陽の光が射し、乱反射を起こすと虹が架かります。

虹の色は7色。その色光源によって波長もプリズムも異なります。
なので、そんな不鮮明な物を撮るわけですから、誤差があって当然なのです。

本来あるはずの点に誤差が加わると、円になります。
この円こそが、ピントの芯となります。

被写界深度の誤解

上と下の図の接点を点ではなく、円とした時に横幅の接地が長いのは下の図の方になります。横幅とは距離に値します。

その距離が長ければ長いほど、ピントが合っているように見える幅が広くなるという事です。

どうでしょう? お分かりになりましたでしょうか。

各メーカーが円を点にする為に日々、努力されています。
しかしながら性能を手に入れるには当然お金が掛かります。

『高いレンズと安いレンズ』こういう観点でも差があるのですね。

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