年々、SNSなどでのWeb肖像権については、規制が厳しくなっています。
昔は一瞬でもテレビに映れば大喜びだった人々が、現在では『訴える』と言うのですから驚きです。
そもそも一般人が、気軽に映像配信出来る時代になった訳ですから、混乱を招いても不思議ではありません。しかしこれについては不明確な部分が多く、間違った知識が飛び交っているのも事実なのです。
今回はそんな肖像権について、考えてみたいと思います。
肖像権を規定した法律は存在しない
一応前提として書いておきますが、肖像権自体は法律として明確な規定はありません。
だから良い悪いという訳ではありませんが、何にしてもグレーゾーンが広過ぎて分かり辛いのです。
仮に転じて、訴えて裁判になったとしても『悪意があったか』や『損害が出たか』という観点からの判決になるでしょう。
確かにネット上で『これはちょっと』というものもありますが、肖像権を主張する声が高まり過ぎ、少しでも映れば被害者を主張し『訴えて金を取るぞ』という脅しのようにさえ聞こえてしまうわけです。
これって完全にただの『粗探し』だと感じてしまいます。
芸能人とディズニーの肖像権
肖像権の中でも明確なのが、芸能人です。
勝手に撮影し、製品化して販売したら勿論アウトです。
これは顧客吸引力である、パブリシティ権の侵害に当たる為です。
それと同様なのが、ディズニーです。
ちょっとここはややこしいのですが、ディズニーは本気で取り組んでいます。
極力グレーゾーンを狭くして、権利を守ろうとしている訳です。
しかし、SNS(公衆送信)問題が大きくなった頃『ディズニーランドに遊びに行った思い出写真を掲載したらイケナイの?』という問い合わせが相次いだ為『他のお客様等のご迷惑となる撮影および公衆送信』となりました。
結局、表現が変わっただけですが『迷惑行為・商用利用しない・風景程度』というぐらいに受け止めていればと思っています。
絶対禁止ならば、撮影自体禁止やカメラ持込禁止にしなくてはなりませんが、携帯電話にカメラが付いているので、それは不可能です。
更にかなり多くのSNSやブログも削除対象となるはずです。
あからさまなもの以外は『思い出』だと考え、削除命令が来たら応じる姿勢を示せば良いのではないかと思っています。
一般人の肖像権の定義
難しい話をするつもりはありません。
肖像権の定義とは『被写体が不利になることをしない』というものだと考えています。
・嫌がる人を無理やり撮影
・不快と感じるシーンの撮影
・隠し撮り
・他人を主役として配置した画
賛否両論ですが、上記を掲載すると嫌がられそうですよね。
なぜ肖像権は難しいのか
難しさの理由は簡単で、基準がないからです。
人それぞれ、感じ方が違うからなんですよね。
これを踏まえると、結果として他人は撮らない方が賢明となるのです。
しかしそれだと、本気でカメラマンは困ります。
以前、仕事で行ったイベント撮影がありました。
一般参加型のイベントで、申込み規約には『撮影有り』となっており、同意のもとの参加のはずなのです。また口頭での説明もありました。
しかし、一応お客様に『撮影しても良いですか?』と声を掛けると『何かに載るのは嫌なので撮らないで』となったわけです。他にお客様はたくさんいるので、別に困らないのですが、規約は完全に無視で肖像権だけを主張するのはどうなのかなとも思う訳です。
悪意が無ければ裁判には負けない
例えばテレビの生中継で、街並みのシーンを放送し、そこに映った人から訴えられることがあるようです。
相手の言い分としては『風邪を理由にズル休みしていたことがバレた』とか『不倫相手との関係が配偶者にバレた』という内容でした。
しかしこれにより、テレビ局が裁判に負けるということは、まず無いようです。
そもそも『撮影スタッフを見掛けたらそこを通らない』や『街中で生放送のリスクがあることは事前に分かっており、回避出来る状態』という解釈であり、テレビ局の迷惑行為とは断定出来ないとなるようです。
もしもこれが認められる時代になってしまったら、様々な部分で不都合が出ると思います。そうなれば、ますます写真もテレビもつまらなくなるでしょうね。
カメラマンとしての意見
ちなみにこの記事の冒頭の写真ですが、これも肖像権に引っ掛かると言えば、そうなるかも知れません。
しかしこの写真が相手を不利にするか、または多くの第三者が本人だと断定できるかは無理だと思います。
しかし掲載自体が不愉快だという場合は、削除しなくてはならないと考えていますが、撮影者としては人が行き交う街中でオブジェや風景を撮影したかったという言い分です。
結局どこまで行っても、グレーです。
現実に、拡散などで被害を受けている方もいますから、判断基準も受け止め方もそれぞれなんですよね。悪意があっても無くても、結果がエスカレートする場合もありますし、善意が裏目に出ることもあります。
はっきり言ってしまえば、解決策はありません。
極力、載せないことが最善かも知れません。
ユルめのグレーゾーンが、今後も続くことを願っています。