前編では、シャッタースピード(Tモード)について体感してもらいました。よって今回はその反対側にある、絞り(Aモード)についてお勉強して行きましょう。
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目次
だから一眼レフは、むずしくないんだってばぁ〜(前編)
シャッタースピードを体感しよう 『一眼レフを買ったけど、よく分からないから使わなくなった』そんな話を耳にします。結局はコ ...
絞りとは何か
写真の表現は様々ですが、ダイヤルの『T』と『A』を比べた場合『A』の方が使用頻度が高いと思われます。というのは『T』は『動きを止める』や『時間を凝縮する』という、ある意味特殊撮影なわけで、止まっている被写体に対しては大きな効力を発揮しません。
人物を撮影する時『動かないで!』と言いますよね。
写真は静止画ですから『止まっているものをいかに表現するか』という場面の方が、はるかに多いのです。
写真とは光を操るということ。シャッタースピードが『時間のコントロール』であるのに対し、絞りは『光量のコントロール』となるわけです。
例えば『1秒』を基準に考えた場合、1秒間にどれだけの光をカメラに取り込むかということです。イメージとしてお風呂を想像して下さい。お湯=光
ストロー程度の細い蛇口で、1秒間お湯を入れる。
ものすごく太い蛇口で、1秒間お湯を入れる。
上記の2例を比べた時、明らかに『太い蛇口』の方が多くお湯を入れられます。
絞りとは『光を取り入れる穴の大きさ』なのです
それを実際に目で見るには、ニコンのレンズが良いんですけど、お持ちでしょうかね? レンズの付け根部分にある『絞り調節リング』を動かすと、レンズ内部の太さが変わるのがお分かり頂けると思います。
『そんなもん持っていないっ!』という方、ご安心下さい。簡単に体感して頂けます。
1.両手で双眼鏡を覗くように、両目の前で手を筒状にします。
2.大きめの筒(親指と人差し指の先っちょを付けるぐらい)を作ります。
3.高速で『まばたき』して下さい。
明るい画像として、見えたはずです。
1.両手で双眼鏡を覗くように、両目の前で手を筒状にします。
2.細めの筒(ほぼグーに近いぐらい)を作ります。
3.高速で『まばたき』して下さい。
暗くて、よく分からなかったはずです。
これが絞りを『開放』と『絞った』状態となります。『そんなの当り前じゃん』と言わず、まぁ聞いて下さい。
次に、目の前30cm辺りに被写体となる電球を置いて今度は、ゆっくり『まばたき』してみて下さい。
『開放状態』では明るい画像として見え『絞った状態』では暗い画像になりました。結果は先ほどと同じだとお考えでしょうが、一つ大きな違いに気付きます。それは、『開放』では眩しく感じたということです。
これを写真にすると明る過ぎて、いわゆる『白飛び』という状態になってしまいます。
では、1例目と2例目を同じ明るさの写真に仕上げるには、どうしたらいいでしょうか? それは前編でお勉強した『シャッタースピードをコントロール』して光をと入り込む時間を調節してあげなくては、平等とは言えません。
開放状態では『早い』シャッター。
絞った状態では『遅い』シャッター。
こうすることで、同じ量の明るさで見ることができます。
さて、お気付きになられましたでしょうか?
それは見え方の違いです。
開放状態では被写体にしか、ピントが合っていない。
絞った状態では、周辺までしっかりと見える。
この状態まで体感できたら、大成功なのです
開放状態で早いシャッター
これはまさに『開放状態』で撮影した写真です。背景にもクモがいるのですが、ボケていて何だか分かりません。その分、主役のクモに目が行きますよね。
絞った状態で遅いシャッター
こちらは『絞った状態』で撮影した写真です。手前から奥の雪山まで、ばっちりとピントが合っています。手ブレが心配なので、三脚を使用しています。
さて、お分かり頂けたでしょうか? どちらにも利点と欠点があります。しかし工夫することで、それらを補うことができるのが写真の技術です。
今回、2回に渡ってご説明した『T』と『A』の設定と意味。どちらを選ぶか、それはそのシーンや表現方法から考え、予め決めておくものです。
『T』を決めれば、『絞り』はカメラがオートでやってくれます。
『A』を決めれば、『シャッタースピード』はカメラがオートでやってくれます。
1つだけ決めれば良いのです
そうすれば混乱することもなく、ピントや他のことに集中できるのです。もし、どちらも自分で決めたいというのであれば、『M』マニュアルを選べば良いだけのこと。
そうやって選択肢や、自分にできることの幅を広くして行くことが、写真技術の発展に繋がって行くのだと思います。もちろん、この他にも最近のデジタル一眼レフは、多くの設定が存在します。しかし、絞りとシャッタースピードさえ理解してしまえば、何も恐れることはありません。
だから、一眼レフは簡単なのです。